筋膜リリースとは、筋肉を包む薄い組織膜「筋膜」を柔らかくし、その滑りを良くして解きほぐす方法です。これにより、筋肉の柔軟性が高まり、関節の可動域が広がります。
筋膜とは
筋肉は「筋膜」という薄い膜に包まれており、さらにグループごとに筋膜によって束ねられています。筋膜はウェットスーツのように体全体に張り巡らされ、表層から深層まで立体的に包み込み、組織を支える「第二の骨格」ともいわれています。
筋膜は以下の3種類に分類されます。
- 筋外膜:筋全体を覆う最外層
- 筋周膜:複数の筋線維を束ねて覆う膜
- 筋内膜:筋線維1本1本を包む膜

筋膜は柔らかい組織であり、委縮や癒着(絡まりやくっつき)を起こしやすい性質があります。この筋膜の癒着が、コリや痛みの原因となり、筋肉の柔軟性を損なう要因となります。
筋膜の役割

筋膜には以下のような重要な役割があります。
- 組織の仕切りと結びつき:各組織を包み込み、体の姿勢を保持する。
- 摩擦の軽減:組織同士が擦れることで生じる摩擦を防ぐ。
- 力の伝達:筋線維を支え、動きをスムーズにする。
筋膜は85%が水分で構成されており、水分不足やストレス、長時間の同じ姿勢(デスクワークなど)によって癒着しやすくなります。これが筋肉の動きを妨げる原因となります。
筋膜リリースの具体的な方法
筋膜リリースを行うことで、コリや痛みを改善できます。以下に代表的なセルフ筋膜リリースの方法を紹介します。

1.背中や肩甲骨まわりの筋膜リリース
- 腰の高さ程度の机の前に立ち、両手のひらを机につける。
- 肩幅程度に手を広げ、肩をリラックスさせる。
- 鼻から大きく息を吸い、吐く息で両足を後ろに引く。
- 両手からお尻までが床と水平になるようにし、背中を弓のようにしならせる。
- 肩がすくまないように注意しながら、数呼吸キープする。
2.脇の下の筋膜リリース
- 左手を前に伸ばし、手のひらを下に向ける。
- 右手の親指を左脇の下に差し込み、親指以外の指を背中側へ回す。
- 右手の親指で脇の下を押しながら、広背筋をほぐすイメージで行う。
3.太ももの筋膜リリース
- 外ももから刺激を始める。
- 膝を立て、膝の外側の「へこみ」を探す。
- そこを指で押したり、フォームローラーを使ってほぐす。

筋膜リリースの効果
筋膜リリースにはさまざまな効果があります。
- 筋肉の柔軟性向上:筋肉の緊張がほぐれ、動きがスムーズになる。
- 痛みの軽減:筋膜の癒着を解消することで、肩こりや腰痛を緩和。
- 姿勢改善:筋膜のバランスが整うことで、正しい姿勢を保ちやすくなる。
- ストレス緩和:筋肉の緊張がほぐれ、リラクゼーション効果が得られる。
- 血行促進:血流が改善され、酸素や栄養が筋肉に行き渡る。
筋膜リリースをより効果的にするストレッチ
筋膜リリースを行う前にストレッチをすると、より効果的です。
- ストレッチで筋肉を温める:筋膜リリース前に軽いストレッチを行い、筋肉を温める。
- 筋膜リリースを実施:ストレッチ後に筋膜リリースを行うことで、より深くほぐせる。
- 無理のない範囲で継続:無理に強い力を加えず、継続的に実施することが重要。
体調改善のためのその他の方法
筋膜リリースと併せて、以下のような生活習慣の改善もおすすめです。
- 適度な運動:ウォーキング、ヨガ、水泳、サイクリングなどを取り入れる。
- バランスの取れた食事:野菜、果物、たんぱく質、繊維をバランスよく摂取する。
- 十分な睡眠:質の良い睡眠を確保し、筋肉の回復を促す。
- 水分補給:筋膜の癒着を防ぐため、こまめに水を摂取する。
