不安や緊張は、知らず知らずのうちにストレスに変わり、プチ不調を招く原因にもなりかねません。
新しい日常を送る今、ストレスの発散方法を見つけることも、なかなか難しいと感じている方も多いかもしれません。ですが、日々の生活習慣をほんの少し見直すだけでも、不安や緊張など心の揺らぎを手放すことは可能です。
今回は、心と体をじんわりとほぐす9つのリラックス方法をご紹介。難しいことはありませんが、まずはひつトライ、クリアできたらもうひとつ。といった具合に、無理せず楽しみながら試してみてください。
毎日を当たり前に送っているだけでも、知らず知らずに溜まっていくストレス。忙しい日々を送っていると、つい雑務に追われ、リラックスすることもなく、溜まったストレスを放置している人も多いかもしれませんね。でも、ストレスを溜めたままでいるとどうなるのでしょう?
はじめに、ストレスを解消せず溜めたまま放置するとどうなるのかをご紹介していきます。
1. 疲れが残ってしまう
ストレスを溜めたままにしておくと、体も脳もどっぷりと疲れてしまいます。そして、その疲れは次第になかなか抜けなくなってきてしまい、いつしか心が疲れてくるでしょう。
心が疲れきってしまうと、体を休めてみたりリラックスを試みてみたりしても、疲れが抜けなくなってしまいます。
疲れが抜けずに残ってしまうようになると、次第に体調を崩すなど心配な事態になることも。
2. 余計にストレスを溜めやすい体質になる
ストレスが常に爆発寸前というくらい溜まりきっている人は、心が疲れているので常にイライラしています。
周囲にもイライラを撒き散らして衝突したり、小さな事が気になってそこでまたイライラしてしまったり。
ストレスを溜めている事が原因で、さらに新たなストレスを呼び、またストレスが溜まってしまうといった、ストレスがどんどん溜まる悪循環を引き寄せてしまうのです。
3. 体調不良になりやすくなる
ストレスが溜まりすぎると脳が疲れてしまい、脳機能が低下してしまうといった変化が起こってしまいます。
そして、脳が疲れる事で心や体のバランスを崩してしまい、次第に体調不良を引き起こすことに。
心や体のバランスが崩れてくると、質の良い眠りが出来なくなってしまいます。
毎日きちんと眠れない事がストレスになってしまいますし、体調悪化も加速してしまうのです。
4. モチベーションの低下してしまう
ご紹介してきたように、ストレスが溜まりすぎると脳が疲れ、自身の気持ちや心もすさみ、疲れが出てきてしまいます。
そして、心が疲れてしまうと、徐々にモチベーションが低下してきて、どんなことにも情熱を持てなくなってくるでしょう。
何をしていてもやる気がでなくなり、前は楽しいと思っていた事柄ですら全く楽しいと思えなくなってしまうのです。
今回は、簡単にできるおすすめのリラックス方法を家・職場・職場以外の外出先・寝る前に分けてご紹介します!脳や体のリフレッシュに、ぜひ役立ててみてくださいね。
★ 特に効果的なものとして「478呼吸法」があります。この方法は、アメリカの医師アンドルー・ワイル博士が提唱したもので、簡単に実践できます。
「478呼吸法」とは、心と身体をリラックスさせるとてもシンプルな呼吸法です。正しい腹式呼吸を意識して横隔膜を上手に使うことにより、リラックス効果以外にも全身の血流改善や、姿勢改善、体幹の強化などの効果が期待できます。
「478呼吸法」は、アメリカの医師アンドルー・ワイル博士が提唱 している呼吸法(意図的に一定のリズムや間隔で行う呼吸)のひとつです。呼吸法には日本で古くから伝わる「丹田呼吸法」や、ヨガで用いられる「カパラバディ呼吸法」など、他にもさまざまな種類があります。
ワイル博士は、呼吸法にはストレスや不安の軽減、気分転換、活力の回復など、さまざまな作用があると説いています。なかでも478呼吸法は「くつろぐ呼吸法」として知られており、深い呼吸によって心身の興奮や緊張を和らげ、リラックスした状態に導いてくれるもの。
疲れているのになかなか寝つけないときなど、交感神経を鎮める目的で行うのに適しているほか、情動や衝動のコントロールに効力を発揮したという報告もあります。そのため、ストレスが多いといわれる対人援助職に従事している方にも、おすすめの呼吸法です。
疲れているときや、ストレスや不安を感じているときは、無意識のうちに呼吸が浅くなる傾向があります。浅い呼吸の継続は、酸素不足による慢性疲労や集中力の低下、睡眠の質などにも影響します。ほんのわずかな時間、自分の呼吸に意識を向けるだけでも、深い呼吸ができていないことに気づくかもしれません。
まずは「自分の呼吸に意識を向ける」ことを習慣にし、呼吸法を上手に取り入れてみましょう。
正しい姿勢で呼吸を意識することで姿勢改善、腰痛予防にもなります。
478呼吸法のような深い呼吸で横隔膜を正しく働かせることにより、より機能的かつ安定した姿勢を保持する力を高めることも期待できます(脊柱、体幹筋の強化 )。猫背や巻肩になりがちの方は、横隔膜を鍛えることで正しい姿勢を保持しやすくなるでしょう。
これは、横隔膜が脊柱や骨盤を支え姿勢:体幹を保持する筋肉(腹横筋、大腰筋、腰方形筋)と隣接しているためです。
正しい姿勢の保持は、歩く・立つなどの基本動作はもちろんのこと、食べる、話す、道具をつかうなど、日常のあらゆる動作、活動を安全に効率よく行うために欠かせない要素です。
腰痛がある方の多くに横隔膜の弱さや易疲労性、浅い胸式呼吸がみられ、吸気に伴う横隔膜の下降幅が狭いといった問題があるといわれています。
478呼吸法を正しく身につければ、仕事の合間や寝る前のリラックスタイムなどに簡単に行えます。心から健康と思える身体づくりのために、478呼吸法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
478呼吸法を行うときの注意点
478呼吸法はたくさん行えば良いわけではありません。
始めてから最初の1カ月は1日4回以内、その後も多くて1日8回くらいが適切とされています。慣れないうちは、1日に何度もやりすぎないほうがいいでしょう。
また、横隔膜の使い方が不十分で、主に胸(肋骨)で呼吸をする「胸式呼吸」のまま478呼吸法を続けてしまうと、1回の呼吸による換気量が下がり、「過呼吸」のような状態に陥ってしまう可能性があります。
万が一、動悸、めまい、手足のしびれなど、過呼吸の兆候が少しでも見られたらすぐに中止し、呼吸を浅くしましょう。
もし患者さんに478呼吸法を試してもらう場合は、横隔膜が十分に働いているかどうか確認する必要があるでしょう。呼吸に伴ってみぞおちと肋骨の下段が広がってくるかどうか手をあてて確認したり、呼吸中に両肩がすくんで力が入っていないかチェックしたりすることをおすすめします。
478呼吸法の手順
準備: 楽な姿勢をとり、舌先を上の歯の裏に触れます。
吸う: 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸います。
止める: 7秒間息を止めます。
吐く: 口から8秒かけてゆっくり息を吐きます。
このサイクルを4回繰り返すと、リラックス効果が得られます。
他にも、以下のような呼吸法があります。
腹式呼吸: お腹を膨らませるように深く息を吸い、ゆっくり吐きます。
口すぼめ呼吸: 鼻から息を吸い、口をすぼめてゆっくり吐きます。
どの方法も、ストレスや不安を軽減するのに役立ちます。ぜひ試してみてくださいね。
他にもリラックス方法はたくさんありますので、いくつかご紹介しますね。
自宅でできるリラックス方法
ストレスとなっていることを書き出す:
誰でも気軽にできる方法としておすすめなのが、ストレスだと感じている事柄をノートに書き出し、リラックスするという方法です。
ただその日ストレスに感じたことをノートに書き留めるだけなのですが、自分がどんな事にストレスを感じたのかなど、できるだけ詳しく書くのがコツですよ。
そして、後で読み返してみてると、ストレスを客観視できるようになるのです。
自分がどういった状況でストレスを感じたのかを客観視できると、ストレスの捉え方が変わってきて、ストレスと向き合えるようになるのです。
温かいハーブティを飲む:カモミールやラベンダーなどのハーブティーは、リラックス効果があります。
アロマキャンドルを焚く:好きな香りのアロマキャンドルを灯して、ゆらめく炎を見つめると心が落ち着きます。
心をリラックスさせるために森林浴が良いというのは、ご存知の方も多いのでは。マイナスイオンがストレスの軽減に役立ってくれて、精神的にも解放されるのを感じるのです。
カメヤマ株式会社の調べによると、実はキャンドルからも、森林浴と同じようにマイナスイオンが発生していると言われています。しかも、キャンドルから発生するマイナスイオンの数は、森林浴を上回るそう。
自分の好きな香りのアロマキャンドルを見つけて、ゆらめく炎を見ているだけで、簡単にリラックスする事ができるでしょう。
背筋を伸ばして瞑想する:静かな場所で背筋を伸ばして座り、呼吸に集中するだけで心がリフレッシュされます。
ただ背筋を伸ばして座り、自然な呼吸を意識しつつ、自分がその時に感じた感情を客観的に感じてみます。
瞑想を毎日繰り返し行っていると、次第に脳の疲れや日々の緊張から解放され、リラックスできるのを実感できるようになります。
好きな音楽を聴く:自然の音や好きな音楽を聴くことで、心が安らぎます。
脳波の一つであるα波は、心や体がリラックスしていている時、何かに集中している時などに出るとされる脳波です。そのため、α波が発生する状態になれば、自然とリラックスできるのです。
α波は森林浴などで発生するそうですが、波の音や鳥のさえずりといったヒーリング音楽やクラシック音楽を聴くことでも出やすくなるそうですよ。
癒しの音楽を聴くのを習慣にすれば、意識的にリラックス脳波を発生させることができ、リラックス効果が期待できます。
感動映画を見て泣く:大泣きした後に、とても心が軽くなるという経験をした事がある方は多いのではないでしょうか。
涙を流すと、心のバランスを司っている 自律神経に影響を与え、ストレスが解消できリラックスできるのだそうです。
ストレスで疲れが溜まってきたなと感じてきた時に観るために、「観たら絶対に泣いてしまう泣き映画」を数本用意しておくと良いですよ。
美味しいものを食べる:美味しいものや大好きなものを食べている時は、幸福感で満たされますよね。リラックスできずに辛い毎日を過ごしている方は、もしかしたら美味しいものを食べて「美味しい」と感じる心の余裕がないのかもしれません。
美味しいものを食べて自分の感情を休ませてあげることで、心のリラックスができますよ。
軽くヨガをする:運動もリラックスにはおすすめなのです。うっすらと汗をかく程度でも効果があります。
運動の習慣がない方が急に運動をするのは抵抗があるかと思いますので、簡単に出来るストレッチや軽いヨガから初めてみましょう。
ヨガでも集中しておこなえば汗をかきスッキリできますし、凝り固まった筋肉をほぐす事ができるため、体も楽になりますよ。
もちろんリラックスするだけではなく、ストレス解消にも役立ってくれます。
達成したことリストを作る:仕事や家事や育児に疲れている人は、毎日緊張の中頑張っているのに、自分で自分を褒めてあげていないのではないでしょうか。
自分の功績を自分で讃えてあげられるよう、達成できたことをリストにしてみましょう。自分を見つめて物事の整理が出来ます。
自尊心や自己肯定感を自分で高めることが大切ですよ。
職場でできるリラックス方法
深呼吸:腹式呼吸を取り入れて、ゆっくりと深呼吸をすることでリラックスできます。
腹式呼吸で深呼吸をする:周囲の目も気にせずに、簡単にリラックスできるのが、呼吸法です。腹式呼吸で深い呼吸を意識していると、副交感神経が優位になるので、リラックスできます。
腹式呼吸のやり方は簡単。
まず、お腹がへこむのを感じながら、口から息を吐ききります。
次にお腹が膨らむのを感じながら、鼻から息を吸い込みます。これを繰り返し行う事で、次第にリラックスでき、緊張も緩んでくるでしょう。
意図的に笑顔を作って過ごす:自分の身に辛いことが起きた時、まず落ち込んでしまう人もいるでしょう。ただし、失敗した時に必要以上に落ち込んでしまうと、どんどん負の連鎖が起きて、なかなか前向きになれなくなってしまいます。
リラックスしたい時は、意図的に笑顔を作って過ごすことがとても効果的。そうすることで、辛い気持ちが和らぎ、自然と笑顔になることができますよ。
昼寝を取り入れる:眠ることも、泣いたり笑顔になったりするのと同じようにリラックスできます。大工さんなどは昼食を食べたら少しの時間でも寝ると話してくれました。体力の回復も含め注意力も戻り、ケガなどしないようになるそうです。
また、ストレスを軽減することもできるので、休憩時間やお昼休みなどを利用して、軽く昼寝をしてみるのもおすすめですよ。
職場だと横になって眠るのが難しい環境も多いと思いますが、椅子に座ったまま、うつ伏せで少しウトウトする程度でも、昼寝の効果は得られるでしょう。
席を立って歩き回る:デスクワークなど、椅子に座ったままPCを見つめ続けるような仕事環境の人などは、時々席を立って歩き回るのも良いでしょう。
じっと同じ姿勢を続けていると、体が凝ってしまうのはもちろんですが、ストレスも溜まってしまいます。
立ち上がって歩き回ることで休息もできますし、体をほぐせるため、リラックスできるのです。
ストレッチ:デスクで簡単にできるストレッチを行うと、体の緊張がほぐれます。
デスクワークをしている人は、ストレスが溜まったなと感じる時、肩こりや目の疲れも感じる事がありますよね。
疲れてきたなと感じた時に、椅子の上でできる簡単なストレッチをしてみると、気分が一新されてスッキリします。
例えば首の筋肉を伸ばしたり、肩をグルグルと回すストレッチをしたりするだけでも、気分がリフレッシュできますよ。
緑の植物を置く:デスクに緑の小さな植物や多肉植物を置くことで、視覚的にもリラックス効果が得られます。
ストレスの軽減やリラックスのためには、マイナスイオンたっぷりの森林浴が良く使われます。職場で森林浴は難しいと思いますが、人は緑色を眺めているだけでも、心がリラックスできると言われています。
デスクの上に緑を置いたり、社内に置いてある観葉植物を見つめたりするだけでも、心が軽くなりストレスが消えていくのを感じられるはずですよ。
一点をボーッと見つめる:ストレスを感じた時や集中したい時などに、一点をじっと見つめるだけでも目や脳のリラックス効果があります。
これは「一点凝視法」などと呼ばれるメンタルトレーニングの一種で、ただ一点をじっと見つめるだけで、リラックスできる方法です。
見つめるのはどんなものでも良いので、デスクに座ったままでも周囲を気にすることなくできます。
外出先でできるリラックス方法
森林浴:自然の中を散歩することで、心身ともにリフレッシュできます。
カラオケ:歌が好きな人は、思いっきり歌うことでストレス発散ができます。
動物と触れ合う:ペットや動物と触れ合うことで、心が癒されます。動物には、人の心を癒してくれる効果があります。アニマルセラピーが医療現場でも活用されているように、動物と触れ合うことで、心がリラックスするだけでなく、健康効果も期待できることが知られています。
動物のリラックス効果は、家で飼っているペットと触れ合う事で、もちろん得る事ができますが、猫カフェなどで触れ合うだけでも得られますよ。
マッサージ店に行く:マッサージは体の筋肉をほぐしたり、コリをほぐしてくれたりします。
マッサージを受けて体のコリがほぐれてくると、気持ちよくなってきて、つい眠くなってくる事がありますよね。これは、心もリラックスできている証拠ですよ。
マッサージには体を健康に導くだけではなく、ストレスを軽減して心も前向きにしてくれるのです。
寝る前におすすめのリラックス方法
ホットタオルを首にかける:首を温めることで、体全体がリラックスします。デスクワークの人など、PC作業が多い人は首のコリや肩のコリで悩まされているのではないでしょうか?
首や肩のコリがひどくなると疲れを感じ、さらにストレスも感じてしまいますよね。首や肩のコリには、マッサージも良いですが、ホットタオルを首にかけて温めるのがおすすめです。
ホットタオルでじんわりと温めることで、気分がリフレッシュされるのを感じられるでしょう。
ホットアイマスクを使う:目を温めることで、目の疲れが取れ、リラックスできます1。
温かいお風呂に入る: 肩まで浸かることで、体の緊張がほぐれます。
仕事でPCを使用しているという人だけではなく、最近はスマホを日常的に使用している人も多いので、いつも目が疲れてしまっていますよね。
目の疲れもホットアイマスクなどで温めて、目の筋肉を休ませてあげてください。
目の周辺を温めると気持ちが良いのでリラックスできますし、頭の中からスッキリするのを実感できますよ。
ストレスのない生活を送るのが理想ですが、現実はそうはいかないですよね。ストレスは心も体も疲れさせてしまう怖い存在です。
リラックスするために、お家や職場でサッと試せるものなどの簡単な方法、リフレッシュしたい時のお出かけ先など、リラックスに役立つ情報をご紹介しました。
様々な方法を試して、ストレスと上手に付き合ってくださいね。
参考文献
バイオフィードバック研究・2020 年・47 巻・第 2 号
【心理学系】呼吸法とリラクセーション―心拍変動バイオフィードバックによる呼吸法の評価―
(福井大学 梅沢章男)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbf/47/2/47_43/_article/-char/ja
東海学園大学研究紀要
呼吸法はなぜ健康によいのか?
心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果
(榊原雅人)
http://repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/handle/11334/303
日本アスレティックトレーニング学会誌 第5巻第1号 27-34(2019)
呼吸機能と体幹,横隔膜の関係性について
(大貫 崇)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/5/1/5_27/_pdf/-char/ja
セラピストプラスブログ 参照・引用 スマートログブログ参照・引用
セラピストプラスブログ 中山 奈保子さん
作業療法士(教育学修士)。1998年作業療法士免許取得後、宮城・福島県内の医療施設(主に身体障害・老年期障害)に勤務。
現職は作業療法士養成校専任教員。2011年東日本大震災で被災したことを期に、災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足し、被災後の日常や幼くして被災した子どもによる「災害の伝承」をテーマに執筆・講演活動を行っている。