肩こりは「国民病」ともいわれるほど、身近な症状です。肩こりは性別に関係なくなり得るものですが、実は肩こりに悩む人は男性よりも女性のほうが多く、その理由として筋肉量やホルモンバランスの影響などが挙げられます。つまり、男性と比べて、女性はもともと肩こりを感じやすいといえるでしょう。
何故女性に肩こりが多いのか?
厚生労働省が2019年に実施した「国民生活基礎調査」(※)によると、体の不調に関する自覚症状のうち、女性では「肩こり」が最も多いという結果でした。
また、女性の肩こりの有訴者率(人口1,000人当たりの自覚症状のある人の割合)は男性の約2倍で、日頃から肩こりに悩む女性は多いと想定されます。
さらに、年齢階級別の有訴者率は、年齢階級が高くなるにしたがって上昇しますが、上昇の仕方に男女差が見られるのも特筆すべき点です。女性は10代から男性よりも数値が高くなり始め、20~50代で大きく上回り、その後は徐々に両者の差が縮まります。
つまり、比較的若い年齢から、肩こりなどの体の不調を抱えることが多いのも女性の特徴といえます。
女性に肩こりが多い理由はいくつかあります。主な原因として以下の点が挙げられます:
筋肉量の少なさ:女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、首や肩の筋肉が疲れやすくなります。これにより、肩こりが発生しやすくなります。
ホルモンバランスの影響:月経や妊娠、更年期などでホルモンバランスが変動しやすく、これが血行不良を引き起こし、肩こりの原因となります。
冷え性:女性は冷え性になりやすく、血流が悪くなることで肩こりが生じやすくなります。
バストの重み:バストの重さを支えるために、首や肩に負担がかかりやすくなります。
これらの要因が重なることで、女性は男性よりも肩こりを感じやすい傾向があります。肩こりを予防するためには、適度な運動やストレッチ、体を冷やさない工夫が重要です。
肩こり解消のストレッチ方法
肩こりを解消するための簡単なストレッチ方法をいくつかご紹介しておきます。
これらは自宅やオフィスで手軽に行えます。
- 肩甲骨はがしストレッチ
両手を肩に乗せて、肘で大きな円を描くように前から後ろに回します。これを30秒間行います。
次に、肘を後ろから前に回します。これも30秒間行います。 - 首のストレッチ
両手を後頭部に添えて、ゆっくりと頭を前に倒します。首の後ろが伸びるのを感じながら、10秒間キープします。
次に、頭を右に倒して左の首筋を伸ばします。これも10秒間キープし、反対側も同様に行います。 - 背中のストレッチ
椅子に座り、両手を背もたれの後ろで組みます。
肩甲骨を引き寄せるようにして、腕を遠くへ伸ばすイメージで行います。これを10秒間キープします。 - 腕のストレッチ
右腕を左肩の上に置き、左手で右肘を押さえます。
右腕を左に引っ張るようにして、肩と腕の筋肉を伸ばします。これを10秒間キープし、反対側も同様に行います。
これらのストレッチを毎日続けることで、肩こりの改善が期待できます。
これらは無理のない範囲で行い、痛みを感じたらすぐに中止してください。
肩こりを予防・解消するには?
整体などで一時的に楽になっても、原因が解消されていなければ、再び肩がこってきてしまいます。定期的に運動するとかストレッチをして身体の良い状態を留めることが重要です。肩こりを繰り返さないためには、生活習慣も根本的に見直す必要があるのです。
最後に、手軽に行なえる肩こりの予防法・解消法を3つ紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
適度な運動を定期的に行なう
まずは、ウォーキングやジョギング、ヨガ、ピラティスなどの運動習慣を身につけるようにしましょう。適度な運動を取り入れることで、血行が良くなるほか、筋肉量も増やせます。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢になってしまうときでも、首や肩周りのストレッチをこまめに行ない、筋肉の緊張をほぐしましょう。
加えて、日頃から良い姿勢を意識して生活することも大切です。整体院などでプロから正しい姿勢を教えてもらうことも有効です。
体を冷やさない
血流を良くするためには、「衣服」「飲み物」「入浴」の3つの工夫で、体を冷やさない生活を心がけることが大事です。
夏場には、カーディガンなどの着脱しやすい衣服を選んで、冷房による冷えを防ぎましょう。真冬には、インナーの重ね着やハイネックの着用、靴下やストールなどの小物で防寒対策を徹底することをおすすめします。
また、飲み物は温かいものを選んで、体を内側から温めることも大事です。さらに、夜はゆっくりと湯船に浸かって、体全体の血行を良くしましょう。
こまめに水分を補給する
水分不足の状態では、血液がドロドロになり、血流を悪化させます。夏場はもちろん、冬場でもこまめな水分補給を忘れずに行ないましょう。目安としては、食事のほかに、毎日1,000~1,500ml程度の水分を摂取するのが望ましいでしょう。
真夏であっても、冷房の効いた部屋では体が冷えているため、温かいハーブティーや白湯などで、体を温めてリラックスするのがおすすめです。
十分な睡眠時間を確保する
睡眠不足だったり、質の悪い睡眠をとっていたりすると、肩こりから回復しにくくなります。十分な睡眠時間を確保するとともに、自分の体に合った寝具を使って、快適な睡眠環境を整えましょう。
また、寝る直前までスマートフォンやパソコンを触っていると、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりします。寝室にはスマートフォンを持ち込まないなど、寝る前の使用を控える工夫をしましょう。
久光健康情報参照・引用