肩こりの主な原因は筋肉疲労や血行不良であり、寝方によってもその症状が引き起こされる可能性があります。睡眠中の姿勢が適切でないと、筋肉への負荷や血流の阻害につながり、結果として起床時に肩こりを感じることがあります。
つまり、疲れを取るために睡眠しているにもかかわらず、肩こりに悩まされることになるのです。そのため、起床時の肩こりが強い場合は、寝る際の姿勢を見直すことをおすすめします。
肩こりの方の寝具の選び方と注意点
肩こりを軽減するためには、適切な寝具選びが重要です。以下のポイントを参考にしてください。
枕の選び方
高さの調整ができる枕:
枕の高さが合わないと、首や肩に負担がかかります。自分の体に合った高さに調整できる枕を選びましょう。
1,柔らかすぎる枕はダメ
ホテルなどで使用しているものにも、ふわふわの枕があると思いますが、朝起きたら寝違えていたなんてこともよく聞きます。柔らかいと気持ち良く眠れそうですが、頭の重みで簡単に潰れてしまいますよね。
つまり、頭を乗せた際に、首と頭を包み込むことはできても、しっかりと支えることができていないのです。
2,横幅のサイズが小さいのも良くない
私たちは、睡眠中に何度も寝返りを打つことで、身体全体の血行を良くし、日中の筋肉疲労を回復させています。
しかし、横幅の小さい枕を使ってしまうと、寝返りの際、枕から落ちないよう本能的に行動するため、深い眠りが妨げられてしまいます。
しかもゴロゴロと寝返りしているうちに枕の位置がずれることで、首に負担がかかり、肩こりを引き起こす原因になっているのです。朝起きたときに枕の位置がずれている方は、枕の大きさが合っていない可能性がありますので注意してみてください。
3,高さが身体に合わないのもNG
枕の高さが、なんだかしっくりこなくて違和感がある場合、ご自分の身体と枕の高さが合っていない事が考えられます。
身体の大きさは人それぞれですから、同じ枕で合わないのは当然なのです。
枕が低すぎたり高すぎたりすると、寝たときに首周りの筋肉が圧迫されてしまい、常に緊張した状態になってしまいます。
そのため、合わない枕を無理して使い続けていると、慢性的な肩こりや、寝ても疲れが取れない原因につながります。
横幅が広い枕:
寝返りを打つ際に頭が枕から落ちないよう、横幅が60cm以上の枕が理想的です。
適度な硬さ:
柔らかすぎる枕は頭が沈み込みすぎてしまい、首に負担がかかります。適度な硬さの枕を選びましょう。
通気性の良い素材:
通気性の良い素材を選ぶことで、寝ている間の蒸れを防ぎ、快適な睡眠をサポートします。
良い枕とは、
・きちんと寝返りできる大きさがあるもの
・寝返りをしてもどんな寝姿勢でも頭と首をしっかり支えてくれる枕
・自分で高さの調整ができる枕
・通気性があって蒸れない枕
・カバーだけでなく本体ごと洗濯できる枕
これらの条件を満たす枕を選びましょう。
肩こりはそのまま放置せず、自分に合った正しい寝具を選んで、寝ている間に解消してしまいましょうね。
マットレスの選び方
体圧分散効果:
体圧を均等に分散させるマットレスを選ぶことで、肩や腰への負担を軽減できます。
適切な寝姿を保ち、寝返りを打ちやすくするためのマットレス選びは「体圧分散効果が適度なもの」を選びましょう。
体圧分散効果とは寝ている際の身体への負担を分散させる効果で、適度な体圧分散効果のあるマットレスを選択すれば、自然な曲線を維持しつつ適度な寝返りが可能になります。
また、人間の体は曲線を描いているため、肩や腰に負担がかかりがちですが、体圧分散が高ければこれらの部位に集中する圧力を軽減できます。
ただし、体圧分散が過度に高いと腰の沈み込みが深くなり、寝姿勢が崩れたり寝返りに余計な力が必要になるため、自分の身体に合ったバランスが重要です。
適度な弾力:
過度に硬いものや柔らかすぎるものは避け、適度な弾力のあるマットレスを選びましょう。
使用しているマットレスが柔らかい場合、背骨が曲がりやすくなるため寝返りの回数が減り、身体に負担がかかりやすくなります。
反対にマットレスが硬い場合は、自然な背骨のS字カーブが保てなくなります。
また、反発が強くなるため寝ているうちに身体に痛みが生じ、安眠が阻害される原因にもなってしまいます。
注意点
寝姿勢の見直し:
仰向けで寝ることが推奨されます。横向きやうつ伏せで寝ると、肩や首に負担がかかりやすくなります。
寝返りを打つこと:
寝返りを打つことで血行が良くなり、肩こりの予防につながります。
寝具の定期的な見直し:
枕やマットレスは定期的に見直し、自分の体に合ったものを選び続けることが大切です。
これらのポイントを参考に、肩こりを軽減できる寝具を選んでみてください。快適な睡眠環境を整えることで、肩こりの改善が期待できます。
寝方によっては肩こりが生じてしまう
肩こりの主な原因は筋肉疲労や血行不良であり、寝方によってもその症状が引き起こされる可能性があります。
睡眠中の姿勢が適切でないと、筋肉への負荷や血流の阻害につながり、結果として起床時に肩こりを感じることがあります。
つまり、疲れを取るために睡眠しているにもかかわらず、肩こりに悩まされることになるのです。
そのため、起床時の肩こりが強い場合は、寝る際の姿勢を見直すことをおすすめします。
肩こり解消のカギは「正しい寝返り」にあり。
肩こりを解消するためには、正しい寝返りがカギとなります。
寝返りは、昼間虐げられた身体の骨組みやそれらを取り巻く筋肉をゆるめ、元の正しい姿に戻そうとする働き、と考えられています。
[足利工業大学睡眠科学センター元教授 小林敏孝]
寝返りには、歪んだ骨格の矯正、睡眠中の血行の改善などの役割があり、睡眠中に肩こりや首こりをほぐしてくれる効果があるとされています。
そのため、しっかりと寝返りができる、環境を寝具で整える必要があるわけです。
自分の身体に合う寝具や枕を使えば、しっかり寝返りを打つことができるので、肩こり予防に加え、肩甲骨のストレッチ効果も期待できます。
睡眠時間を使って、ただ寝ているだけで、日中に溜まった肩周りの筋肉の疲労がほぐされるので、朝起きると疲れが取れており、スッキリ目覚められるというわけです。
これまで肩こりに悩まれていた方にとっては、夢の様な話に聞こえるかもしれませんね。
肩こりにつながる3つの寝方
うつ伏せで寝る
うつ伏せの姿勢は、肩こりのリスクを高める姿勢の一つです。首を左右のどちらかに向けた状態で呼吸をする姿勢となるため、首に大きな負担が掛かります。
首と肩の筋肉はつながっているため、うつ伏せの姿勢によって首に負担がかかり続けると緊張状態になってしまい、それに伴って肩も緊張状態となります。
首と肩の筋肉は連続しており、首の負担は直接肩へと影響肩こりの原因となることがあります。肩に生じた緊張状態が続くことで、肩こりにつながってしまうのです。
横向きで寝る
多くの人が好む横向きの寝姿勢には、肩こりのリスクが潜んでいるので注意が必要です。
横向きに寝ると体の突出部分に負荷がかかり、血行が滞ることで血行不良により肩こりが発生する可能性があります。横向きの姿勢は、肩や腰などの部分に体重が集中します。
長時間にわたってその状態を続けると、肩や腰への負担が大きくなり、血流を妨げ、筋肉が緊張状態となり、結果として肩こりの原因につながります。
同様に、自身の腕で頭を支える「1人腕枕」姿勢でも、腕や肩に大きな負担がかかり、同じように血行不良を招いて肩こりの原因となります。
バンザイ寝
バンザイ寝は、睡眠中に無意識のうちに両手を上げた体勢で寝てしまうことです。この姿勢は、肩こりや血行不良、冷え込みの原因となる可能性があります。
朝起きた際に、両腕を上げた状態で寝ていた場合、バンザイ寝をしていた可能性が高いでしょう。この姿勢では、筋肉が凝り固まり、血行が悪くなってしまいます。
特に冬場は、腕が布団の外に出た状態だと冷えにもつながるためバンザイ寝には注意してください。
自身の睡眠姿勢を再確認し、適切な寝方を心がけましょう。
肩こりを予防するには
肩こりを予防するには、睡眠時の寝方に気をつけるだけでなく、適度な寝返りを打つことも重要です。
また以下のようなことも肩こり解消に効果的です。
仰向け寝を行う
自分に合う枕を見つける
マットレスを変えてみる
寝る前にストレッチを行う
首や肩を温める
寝返りをしっかりうつ
それぞれについて、もう少し詳しくみていきましょう。
体の痛みは、しばしば血行不良が原因となります。特に肩こりのような局所的な不調は、その部位への負荷が原因で血流が滞ることが主な要因です。
良質な睡眠は、体全体の血行を促進するのに重要です。適度な寝返りを打つことで、血流が円滑に行われるようになります。
これにより、睡眠中に血行不良が起きるのを防ぐことができ、結果として起床時の体の痛みを和らげることができます。
寝返りを十分に打てていない人は、寝具の選択に気をつけることが大切です。寝返りがしやすい構造の寝具を使うことで、血行が改善され、体の不調が解消されることが期待できます。
睡眠時の姿勢は立ち姿と同様に自然であることが大切です。特に重要なのは、背骨のなだらかなS字カーブを保つことです。
通常、背骨はまっすぐ立った時にこのS字カーブを描いていますが、猫背や反り腰などの姿勢ではこのカーブが崩れてしまい、肩こりの原因になります。
睡眠時においても同様の問題が生じます。正しい姿勢で寝ないと、背骨のS字カーブを維持することができないため、仰向けで寝ることがおすすめです。
仰向けの姿勢を取ることで、背骨のS字カーブを保つことができ、体の圧力が均等にかかり、血流もスムーズになります。
さらに、寝返りが打ちやすくなったり、呼吸が深くなるなどの睡眠の質の向上にもつながります。
寝る前のストレッチ
デスクワークの人は、同じ姿勢を長時間続けることで首や肩の筋肉に緊張と疲労が蓄積し肩こりが生じる可能性があります。
そのため、就寝前に簡単なストレッチを行うことをおすすめします。
特に効果的なのは「バックアーム」と「チェストアーム」のストレッチです。
【バックアーム】
- 椅子に座った状態で体の前で両手を組む
- 鼻から深く息を吸い込み、吐きながら背中を丸め、肩の後ろや腕を伸ばす(15〜30秒)
- 鼻から深く息を吸い込み、吐きながら伸ばした手のひらを返し、さらに腕を伸ばす(15〜30秒)
- ゆっくりと背中を伸ばし、力を抜いて深呼吸(10〜20回)
【チェストアーム】
- 椅子に浅く腰掛けて、後ろで両手を組む
- 鼻から深く息を吸い込み、吐きながら肩甲骨を寄せるような状態で胸を伸ばす(15〜30秒)
- 鼻から深く息を吸い込み、吐きながら肩甲骨を寄せて組んだ手首を10〜20cmゆっくり引き上げる(15〜30秒)
- ゆっくりと腕を腰まで降ろして手を離し、力を抜いて深呼吸
これらのストレッチは椅子に座って行えるため、場所を取らずに手軽に実践できます。
寝る前にぜひお試しください。
首や肩を温める
寒い季節などで室温が低くなると、血管が収縮し血行が悪くなるため首や肩の冷えが原因で肩こりが起こりやすくなります。
対策として、寝る前に部屋を適度に温めたり、お風呂に入るのがおすすめです。血行の流れを良くすることで肩こり解消に繋がります。
一方、夏はエアコンの冷え過ぎにも注意が必要です。直接風が当たらないよう、寝る位置を調整するなどの工夫が大切です。
寝具カタログ参照・引用、 Dr-L BLOG参照・引用、 HONEFIXブログ参照・引用